頭痛について

 頭痛はよくある症状の一つです。頭痛の原因が見当たらず、頭痛そのものが病気である場合と、他の病気の症状の一つとして現れる場合の2通りがあります。耳鼻科的疾患が頭痛の原因であることは珍しくありませんが、他科を遍歴後に耳鼻科にたどり着き、原因が判明することがあります。

鼻症状のない副鼻腔炎: 鼻汁、鼻づまり、鼻汁がのどに落ちる、匂いがわからないなどの鼻症状がない場合は見落とされがちです。眼の奥や頭の芯が痛むことが多いです。CT検査で後方の副鼻腔に影があれば診断がつきます。

鼻粘膜接触点頭痛: 鼻の真ん中の仕切り(鼻中隔)が強く曲がっていたりすると、反対側の粘膜とピンポイントで接触し、それが鼻痛ではなく頭痛を誘発することがあります。内視鏡で接触点が確認され、粘膜収縮剤のスプレー後、5分以内に頭痛が消失すれば診断されます。

脳脊髄液の漏れ:滅多にありませんが、脳脊髄液が中耳や鼻腔に自然に漏れることがあります。脳脊髄液の圧力が低下すると頭痛を生じます。髄膜炎を合併すると激しい頭痛にかわります。

慢性上咽頭炎: のどの違和感や異物感、後鼻漏、鼻閉感、咳、痰、さらに頭痛、肩こり、耳閉感、倦怠感、めまいなど、どこが悪いのかよくわからない症状が出るのが特徴です。頭痛がメインの症状であることがあり、上咽頭塩化亜鉛擦過療法を行うと頭痛が軽減します。

睡眠不足に伴う頭痛: 鼻づまり、夜中の咳、睡眠時無呼吸症候群、不眠症などでは昼間の眠気をあまり意識せず、主に体のだるさや頭痛を自覚する場合があります。

頭部の神経痛: 頭皮に近いところが瞬間的に繰り返し痛くなります。三叉神経痛では髪の毛を触っても痛がります。顔面神経麻痺や帯状疱疹の前兆のことがあります。長引けば神経痛用のお薬を飲むと改善します。

 頭痛の原因は数百もあるといわれており、すべてを正確に診断するのは至難の業です。原因不明といわれ、頭痛を放置されている場合も多々あると思われます。何かのご参考になれば幸いです。