薬は毒、毒は薬

 多種の薬を長期に服用されている方や、今は症状がないが念のための薬を所望される方に、何年も前からご注意さしあげていたことがあります。それは、お薬は基本”毒”であるということです。毒にも薬にもなるという格言がありますが、実は薬という意味の古代ギリシア語phármakonにも毒という意味があります。例えば鉱物の一種Pharmacosideriteは毒鉄鉱と訳されています。

 毒は薄めて上手に使うと薬にもなるというわけですが、基本は毒ですので、勝手に用法用量を変えたり、他の人の薬を借りて飲んだりすると、体質や薬の飲み合わせによっては効果がなくなったり重大な副作用が出ることがあります。

 ところで、最近厚労省が以下のようなポスターを作製しています。

『これ、毒です。』と書かれていますね。ようやく厚労省が私に追いついたなと思ってしまいます。いまだに風邪を引いたので抗生物質をくださいと言われる方がおられますが、そのような方には抗生物質は熱にも痛みにも咳にも痰にも鼻水にも効かず百害あって一利なし、一万人の風邪の方に抗生物質を飲んでもらってもたった一人しか肺炎になるのを防止できないよ、とご説明します。それでも欲しいとおっしゃる方には、まれではありますが失明に至る恐ろしい副作用の話をします。

 薬好きの皆さん、くれぐれも薬を毒にしてしまわないようお願いします。