現在、抗菌薬が効かない病原菌(耐性菌)が世界的に増加しており、このままでは2050年頃には抗菌薬が存在しなかった時代に逆戻りするといわれています。このためWHOでは、抗菌薬を3つに分類して抗菌薬を適正に使用し耐性菌増加を防ぐための指針を作成しています。その分類とは、以下のようなものです。
Access: 一般的な感染症の選択薬として用いられる耐性化の恐れが少ない抗菌薬
Watch: 耐性化が懸念されるため、限られた疾患や適応にのみ使用すべき抗菌薬
Reserve: 耐性菌のために他の手段が使用できなくなったときにのみ使用される抗菌薬
これらの頭文字をつなげてAWaRe分類といいます。英語の認識するという意味の単語awareと掛けています。
当院では、以前より抗菌薬の処方を極力減らし、処方する場合も耐性化の懸念が低いものを使用するよう心掛けてきました。その結果、最新のデータでは当院でのそれぞれの処方比率はAccess56.09 % Watch 43.63 % Reserve0.06 % となっております。WHOはAccessの比率が60%以上を推奨しておりますので、残念ながら今一歩のところで推奨値に到達しておりません(ちなみに本邦では Watch の割合は 75%以上です)。
抗菌薬が効かない未来にならないよう、皆さんのご理解ご協力をお願いいたします。
2024年10月29日追記:当院はAccess抗菌薬に分類されるものの使用比率において、サーベイランスに参加する診療所全体の上位30%以内に達しているため、近畿厚生局より抗菌薬適正使用体制加算の施設基準を満たす医療機関として受理されました。